脈々と受け継がれ再評価される音
2012年にType Recordsからリイシューされるという「事件」も記憶に新しい、もはやクラシックとなった名盤。
Mark ErnestusとMoritz von Oswaldの運営する「Basic Channnel」のサブレーベル「Chain Reaction」から96年に先行シングルおよび新録作品をまとめた形でCDのみでリリース。Chain Reactionの文字が刻印された渋い錫製ケースに収められとても格好いい。
Porter RicksはThomas KönerとAndy Mellwigの2人によるプロジェクト。
Könerはアートよりな人で、サウンドとヴィジュアルによるインスタレーションやライブ作品を発表している。
Mellwigは、Mark ErnestusとMoritz von Oswaldの運営するマスタリング・スタジオでカッティング・エンジニアとして数々の作品に関わっており、ソロ活動やAudio Experimental Researchへの参加もしている。
2人の出会いが後世に名を残す傑作を生み出すこととなったわけだが、この2人のプロフィールを確認するだけでも、この作品の特色が十分浮かび上がってくる。
「Basic Channnel」より引き継がれた深いダブの音響、アブストラクトでミニマルな曲調はノイジーでインダストリアルな響き伴いながら聴く者を殺伐とした無機質な異次元へと陶酔させていく。
その精緻を極めたサウンド・デザインとアーティフィシャルなサウンド・イメージはそのまま現在のインダストリアルでアンビエントなサウンドにも直結する。
ノイズ・ドローン等のエクスペリメンタルな作品を発表してきたType Recordsからレーベル100枚目の作品としてリイシューされる意義は大きく、ダンス・ミュージックとしてのテクノ作品が今、異なるフィールドから新たな再解釈をなされ、再評価されているひとつの象徴的な「事件」だった。
「Chain Reaction」はMark ErnestusとMoritz Von Oswaldによる「Basic Channel」のサブレーベルで95年よりスタート。現在までに35枚の12"と11枚のCDをリリースしている。
短期間の活動の間にシーンに多大な決定打を与えた「Basic Channel」直系のディープな音を多くの多彩なアーティスト達が引き継ぎ、かつ発展させてきたその功績は本家共々大きく、現在においても多くのアーティストにその影響を見ることができる。
リリースされたCDのうち6番目のCRD-06までは特徴的な錫製の缶ケースに入れられ、所有欲をより一層かりたたれるデザインとなっている。CRD-07よりCRD-11まではグレーのモノクロームな渋いデジパック仕様となっている。
CD
CRD-01 Porter Ricks／Biokinetics（1996）
CRD-02 Vainqueur／Elevations（1997）
CRD-03 Various Artists／Decay Product（1997）
CRD-04 Monolake／Hongkong（1997）
CRD-05 Substance Session／Elements（1998）
CRD-06 Various／... Compiled（1998）
CRD-07 Fluxion／Vibrant Forms（1999）
CRD-08 Hallucinator／Landlocked（1999）
CRD-09 Vladislav Delay／Multila（2000）
CRD-10 Matrix／Various Films（2000）
CRD-11 Fluxion／Vibrant Forms II（2000）
discogs
basic channel
koener.de
Posted at 2013-07-15
