タイムレスで至宝の響き、問答無用の名盤
アンビエントきっかけにテクノを聴いていくうち、幸か不幸かその存在を知り、出会い、その音の魅力にどっぷりとはまってしまい、もはや中毒になってしまった感がある。
「Basic Channel」はテクノ・レーベルとレコードショップを兼ねる「Hard Wax」のオーナーMark Ernestusと元Palais SchaumburgのMoritz Von Oswaldとにより1993年に結成されたユニットでありレーベルでもある。匿名性の高い謎に満ちたユニットにしてわずか2年間の活動のみでその後のシーンに決定打を与え、無数のフォロワーを現在においても生み出し続けている。
「Basic Channel」のサブレーベルである「Chain Reaction」からもその「音」を踏襲した数多くの有能なアーティストを輩出し、傑作を生み出している。
数々のフロア向けの12インチとは別に、リスニングを前提に作られたであろうこの「BCD」というコンピCDは私にとって、アンビエント・ダブともディープ・ミニマルとも言われる「Basic Channel」の魅惑的な音響芸術に対して、アンビエントという視点からアプローチし、体験する機会を得ることができた最重要盤。
ジャマイカ発のダブ、デトロイトテクノとの出会い、そしてミニマルやノイズをも吸収し、全く新しい地平を切り開いたその音響は今聴いてもとても斬新で、噛めば噛むほど味がしみ出してくるようないぶし銀のような職人仕事を感じずにはいられないタイムレスな魅力に満ちあふれている。
テクノ好きならずとも一家に一枚の推薦盤ならぬ必聴盤。まさに冥土の土産にこの一枚。
ありがたいことに本作にはいくつかの再発盤があり、95年の厚紙の封筒に入れられたに初版CDをはじめ、渋い錫製ボックスで96年と97年にリリースされている。さらに2003年にもデジパックで再発。いずれもリマスタリングはなされていない模様。
Posted at 2013-07-14