シネマティックな名クラシック・アンビエント
ノルウェーのGeir JenssenによるBiosphereの、2000年作のTouchからの最初のリリース。
アラスカの荒野を一人で歩き、命を落とした若いアメリカ人クリス・マッキャンドレスの物語「Into the Wild(荒野へ)」にインスパイアされた作品。
控えめなビートにふわっとしたアトモスフェリックなシンセ、ナレーションや生音が加わり、全体的に緩やかなアンビエント。
Biosphereの作る音はよく氷河アンビエントとか極寒アンビエントといったような冷たい温度表現をされることが多いのですが、ギターっぽい弦楽器やフルート、オーケストラの生楽器の音のせいでしょうか、この作品までの音と比べると、ジャケットアートに反して比較的暖かみがある音に聴こえます。
音楽は相変わらず抑制が効いていて、終始落ち着いた気持ちで聴ける鉄板アンビエントです。
クラシカルな雰囲気の中にもフィールドレコーディングされた音やノイズが調和を見出すことなく効果的に挿入され、ミニマルなリズムにのせて気持ちよく時間が流れていきます。
この人は安定感抜群で、誰にでもおすすめできるアーティストだと思います。
このアルバムは2007年にBeatservice Recordsから、2016年に自身のレーベルBiophon Recordsからそれぞれリイシューされています。
Posted at 2022-03-15