何もない空間での孤独感に否応なく包まれる月旅行
ノルウェーのGeir JenssenによるBiosphereの、2004年作、Touchよりリリース。
作家のJules Verneが書いた「月世界旅行(1870年)」を2003年9月にラジオ・フランス・カルチャーがラジオドラマ化、その音楽を委嘱された際の曲が主に収録されています。
タイトル通り宇宙船に乗って月を1周する宇宙アンビエント的な作品。
このアルバムは今までのBiosphereの毛色とはかなり異なっていて、大半が無機質で機械的な電子音の重低音ドローン、サンプリング音で占められています。
同じ月を扱った宇宙アンビエントであるBrian Enoの「Apollo」とは随分違っていて本作は結構インダストリアルな趣です。
#7だけわずかに静かな美しい曲が流れます。
全体的にとても静かで重低音と共に深い漆黒の無の宇宙で、何もない空間での孤独感に否応なく包まれます。
ジャケットはノルウェーの現代美術家Tor-Magnus Lundebyによるもの。
Posted at 2022-03-16