地球の原始世界のような壮大で神秘的な音世界
1986年にミサワホーム総合研究所サウンドデザイン室が企画した「Soundscape Series」と銘打ったシリーズの第2弾。第1弾は吉村弘の「Surround」でこの作品との2作品のみで終了。
第1弾の吉村弘「Surround」と今作を比べると、前者が室内的なアンビエントだとすれば後者は思い切り大自然を意識したサウンドスケープになっています。
水の滴りに始まり、せせらぎや波、鳥や夜鳥のさえずり、虫やセミの鳴き声など、あらゆる自然音とともに、ベルの音、ピアノ、シンセサイザーなどを織り交ぜて、様々な心象風景、ノスタルジーを創出するようなアルバムになっています。
特筆すべきは#4の「Taiko 太古」で、地球の原始世界のような壮大で神秘的な音世界が広がります。タイトルの「NOVA 新星」はここからきてるのかな?
この第2弾ではもはや室内アンビエントとは全く異なった、広大な自然の中に身を任せて、母体である地球に回帰するようなイメージを抱かせる作品になっており、80年代日本アンビエントの傑作ではないかと思います。
先の吉村弘「Surround」とあわせて日本にもこんな素晴らしい作品があったのかと思うと嬉しくなりますが、このシリーズ、2枚で終わってしまったのがとても惜しい…。
ただ嬉しいことに、このアルバムは2019年にスイスの新興再発レーベル「We Release Whatever The Fuck We Want」によって10分以上におよぶ未発表曲4曲を加えて2枚組でリイシューされました。
長らく手に入らないようでしたので、とてもありがたいことだと思います。
普段の生活から離れて、壮大な自然に回帰したい時、幼い頃、自然に戯れた時を思い出し、ノスタルジーに浸りたくなった時に聞く最適な一枚。
Posted at 2022-02-15