無声映画が似合う退廃的イメージの架空サントラ的アルバム
くぐもった音が重なり合い、終始虚ろげでドリーミーな印象。
退廃的でつかみどころない音の波は、過去の時代なのか未来なのか分からない、どこか遠い見知らぬ異国を感じさせる。
「カリガリ博士」「吸血鬼ノスフェラトゥ」などの1920年代ドイツ表現主義映画のための架空のサウンドトラックとして制作されたというこのアルバムは、なるほど、古いモノクロの無声映画がよく似合う。個人的にデビッドリンチ監督の「イレイザーヘッド」のイメージにも近いかと。
また、本サイトでも紹介しているKilnのアルバム「Thermals」収録の#10「The Ice Floes」がこのアルバムの雰囲気にとてもよく似ている。
アンビエントとして使おうにも、否応なくこの世界に引きづり込まれる。
見知らぬ世界にノスタルジーを感じて迷い込み、ひたすらさまよい続けたい時に。
白黒2色の手刷りのシルクスクリーンが施されたクラフト紙でできた2ッ折りのジャケットがいい味を出している。描かれたモノクロの絵がさらにこのアルバムの雰囲気を醸し出している。
Posted at 2012-09-19