静謐な東洋美の世界に浸る一枚
坂本龍一のCDで一番好きなのがこの「Coda」です。
最終章という意味なのですが、有名な大島渚監督の映画「戦場のメリークリスマス」のサントラに使われていた楽曲をすべてピアノのソロヴァージョンにして収録したアルバムがこれです。
もちろん坂本龍一「Coda」曲である「戦場のメリークリスマス」のピアノ版も1曲目に収録されています。
元々はカセットブックとして「Avec Piano」というタイトルで発売されていましたが、レコード化に際して「Japan」「Coda」の2曲が追加収録され、CD化に至っています。
「Coda」とは終結部という意味の音楽用語で、アルバム坂本龍一「Coda」は「戦場のメリークリスマスはこれで終わりにしたい(終章)」という意味からつけられたそうです。
この後、坂本龍一は映画「ラストエンペラー」の音楽で世界的にもさらに有名になっていくのですが、僕はこの頃の坂本龍一の曲、飾りっ気のないシンプルなこのアルバムが一番好きです。
聞いていて、ものすごく東洋美を感じる曲ばかりで、整然とした旋律の中に、ピンと張りつめた静寂さや緊張感があり、ものすごく東洋的な雰囲気が満ちているのです。
ラストエンペラーとか最近のピアノ曲などとはまったく比較にならないほど日本的というか、よく古い神社や寺なんかにいった時の、あの凛とした感じというのでしょうか、そんな空気にさせてしまうのです。
ドビュッシーやラベル、エリックサティなどのピアノ曲に聴かれる美しさに通じるようで、かつそれとは全く異質な、何か日本を強烈に感じてしまうメロディだと思います。
Posted at 2012-08-23