ジム・オルークも絶賛した妖艶で美しい電子音
ミル・プラトーのVA「クリック&カッツ」にも参加し、アルバムも発表している「ネイナ」のメンバー「ホソミサカナ」の主催するプロジェクト「maju」。
オーストラリアの名門「Extreme」から現在までに5枚リリースされたうちの1stで、そのシリーズ中で一番音楽的な作品(注:決してアンビエントっぽくないということではない)。
国内流通仕様盤には、このアルバムを絶賛するジム・オルークの書評と湯浅学の解説、日本語化されたレーベルのプレスリリースと曲目の一覧が付いている。
そのオルークの書評通り、エレクトロニック・ミュージックにおける数々のアイデアが一枚に凝縮されたようなアルバムで、まさにその賞賛に十分値する内容。
よもすればニューエイジ調の甘ったるい表現やモダン・クラシカルなスタイルになりがちな日本のアンビエント作品の中にあって、異質で妖艶な輝きを持った名盤だ。
日本人の記憶の奥底にある風景を呼び起こすような音で、表面上のスタイルや表現方法だけでそれを表すような安っぽい仕事ではなく、極めて精巧かつ独自の音使いとその世界観。
「淡い朱に染まった記憶」と邦題で題された1曲目のPV映像がこの作品の世界を非常によくあらわしていると思う。
Posted at 2012-08-24