タイタニック号の沈没〜死を想う美しい音楽
現代音楽と呼ばれるジャンルの中でも比較的入りやすい音楽を制作するとされるギャビン・ブライヤーズの超有名作品。
最初のヴァージョンはブライアン・イーノが主催したオブスキュアーレーベルの第1弾として1975年に発表されました。
タイトル通りタイタニック号の沈没がテーマになっています。
タイタニックが沈没するときに実際に演奏されていたという賛美歌を元に、様々なSE(ミュージック・コンクレート)や合唱を交えながら、どんどん沈んでゆく。
ひたすら同旋律を繰り返す手法で単調なようですが、聴いていくうちに精神的にどんどん深くハマっていく不思議な一枚。
沈没の描写でもなく、ミニマルのように表層的でもなく、感情表現でもなく、聴く者を耽溺させる何かこのアルバムでしかなし得ないものを表現しているような感じ。
個人的におもしろいと思うのはこの作品の立ち位置で、現代音楽やミニマルミュージック、アンビエントミュージックの間を行き来するような場所にあるような作品で、たとえばブライアン・イーノとアルヴォペルトの間にこの作品が収まっていそうな気がします。
死にゆく中にあって、その死をも超えた何かを感じさせる、もしくは表現しようとしている、ありそうでなかなか出会えない名盤。
Posted at 2012-08-23